
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるいすゞ自動車(株)【7202】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿ったいすゞ自動車(株)【7202】 の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・いすゞ自動車(株)【7202】は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


いすゞ自動車(株)【7202】 の基本情報
・設立年月日 1937年4月9日
・上場年月日 1949年5月
・業種 輸送用機器
・特色 トラック大手。中小型強い。タイ生産ピックアップも柱。傘下に大型強いUD。トヨタと提携。
・資本金 406億円
・従業員数 (単独)8,306人 (連結)45,220人
・株価 1,829円(2022.11.22)
・単元 100株
・決算 3月末日


いすゞ自動車は、主にトラック・バスなどの商用車を製造する日本の自動車メーカーです。
トヨタ自動車・日産自動車とともに、日本国内で日本企業による自動車の本格的な量産が始まった1930年代から四輪自動車を生産している自動車メーカーで、ディーゼル自動車および船舶・産業用ディーゼルエンジンを得意としています。
国内における小型トラックの販売台数では20年連続(2001~2020年)で第1位、中・大型トラックの販売台数は第2位(2020年)、世界市場ではバンを除いた中小型トラック分野での販売台数は世界第2位、大型トラック部門では世界第14位(2018年)となっています。
かつてはトヨタ自動車、日産自動車とともに日本自動車業界の御三家とも言われていたそうですが、乗用車部門の不振で1990年代から経営危機に陥り、乗用車から撤退して商用車に特化、ホンダやGMからのOEMを経て、1971年からトヨタ自動車と資本・業務提携(2018~2021年は提携を解消)しています。
企業理念は「「運ぶ」を支え、信頼されるパートナーとして、豊かな暮らし創りに貢献します。」、行動指針には「私たちは、信頼をすべての基本とし、自ら考え、行動し続けます。」を掲げ、真のニーズを追究し、魅力ある商品・サービスを創造することを目指されています。
ではここからは、いすゞ自動車(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
輸送用機器93社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆3643億円(9位) |
売上高 | 2兆5142億円(10位) |
営業利益 | 1871億9700万円(6位) |
経常利益 | 2084億600万円(8位) |
純利益 | 1261億9300万円(9位) |
営業利益率 | 7.4%(12位) |
純利益率 | 5.0%(20位) |
総資産 | 3兆89億円(10位) |
負債 | 1兆5419億円(11位) |
輸送用機器の中で売上高、総資産とも10位。利益率はまずまずで、純利益率は5.0%と20位。小型トラックの国内トップ企業であり、事業規模は文句なしです。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆6529億9000万円
流動負債:9373億1500万円
固定負債:6046億4600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.76倍で基準未達、
②は、固定負債6046億4600万円 < 純流動資産7156億7500万円 で基準達成となり、
よって、流動資産に対して流動負債の割合がやや高いですね。残念ながら基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字がありますが、ここ10年はしっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 965億3700万円 |
2014年3月 | 1193億1600万円 |
2015年3月 | 1170億6000万円 |
2016年3月 | 1146億7600万円 |
2017年3月 | 938億5800万円 |
2018年3月 | 1056億6300万円 |
2019年3月 | 1134億4400万円 |
2020年3月 | 812億3200万円 |
2021年3月 | 427億800万円 |
2022年3月 | 1261億9300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が131.3円、直近の3年平均が110.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -16.0%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 113.78円 | |
2014年3月 | 140.85円 | 3年平均:131.3円 |
2015年3月 | 139.34円 | |
2016年3月 | 138.42円 | |
2017年3月 | 119.13円 | |
2018年3月 | 134.17円 | |
2019年3月 | 150.17円 | |
2020年3月 | 110.14円 | |
2021年3月 | 57.91円 | 3年平均:110.3円 |
2022年3月 | 162.87円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2021年が無配であり、基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 6円/株 | 1.19% |
2011年3月 | 8円/株 | 1.22% |
2012年3月 | 12円/株 | 1.24% |
2013年3月 | 20円/株 | 1.8% |
2014年3月 | 24円/株 | 2.02% |
2015年3月 | 30円/株 | 1.88% |
2016年3月 | 32円/株 | 2.75% |
2017年3月 | 32円/株 | 2.17% |
2018年3月 | 33円/株 | 2.02% |
2019年3月 | 37円/株 | 2.54% |
2020年3月 | 38円/株 | 5.31% |
2021年3月 | 30円/株 | 2.52% |
2022年3月 | 66円/株 | 4.16% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.74倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.07倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も10.42で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2兆5142億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -16.0% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.16% |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.74倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.07倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、「いすゞ自動車(株)は割安株に該当しない」という結果となりました。流動資産に対して流動負債の割合がやや高く、成長性も低いですね。仕方ありません。
いすゞ自動車では、「中期経営計画2024」を策定し、「既存事業の拡大・収益向上」を図ると共に、「カーボンニュートラル戦略」及び「進化する物流へ商用車メーカーとして貢献」の2つを「イノベーションの基軸」として、その実現・実装に向けて取り組むとのこと。そして、変革期を乗り越え、認められ、存続できるサステナブル企業となるべく「ESGを視点とした経営への進化」を強化していくそうです。
特に、2021年4月にボルボ・グループより全株式を取得し連結子会社化したUDトラックスとの連携を進め、商品の相互補完、両社の拠点インフラを活用した販売力・サービス体制の向上など国内外のCV事業を強化されています。商品面でもボルボ・グループとの共同開発を推進しており、2023年を目途に新型トラクタヘッドをいすゞ/UDトラックス双方のチャネルに投入する予定とのこと。今後にさらなる成長が期待できそうです。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
の9社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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