こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)SCREENホールディングス【7735】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったSCREENホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・SCREENホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)SCREENホールディングス【7735】 の基本情報
・設立年月日 1943年10月11日
・上場年月日 1962年5月
・業種 電気機器
・特色 半導体製造装置の大手、うちウエハ洗浄装置では世界断トツ。液晶製造装置や印刷機器も展開。
・資本金 540億円
・従業員数 (単独)475人 (連結)6,238人
・株価 18,440円(2024.3.9)
・単元 100株
・決算 3月末日
半導体・液晶製造装置・印刷関連機器などの産業用機器を製造する企業グループの持株会社です。1934年のガラススクリーンの国産化に成功して以来、フォトリソグラフィー技術を起点に、印刷からプリント基板製造、半導体・ディスプレー製造などの分野に応用展開し、最先端のニーズに応える製品と技術を提供されています。
半導体製造装置、液晶製造装置事業が業績の75%を占め、海外比率は2007年3月期で62%。半導体を形成する金属製薄板(シリコンウエハ)の洗浄装置や、液晶テレビ、パソコンの液晶ディスプレイ製造用の大型ガラス基板対応装置、また印刷版出力装置では世界トップシェアを持っています。
世界トップクラスのシェアを誇る製品を複数持っており、海外売上高の高さも魅力ですね。
人と技術をつなぎ、未来をひらく
創業の精神は「思考展開」。社会の課題に自社の技術がどのように役立つかを考え、新しい事業や製品の創造と発展に挑み続け、「未来共有」「人間形成」「技術追究」という企業理念に基づいて、社会の新たな課題と継続的な企業価値向上に取り組まれています。
ではここからは、(株)SCREENホールディングスに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器214社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆7489億円(19位) |
売上高 | 4608億3400万円(32位) |
純利益 | 574億9100万円(19位) |
純利益率 | 12.5%(15位) |
総資産 | 6914億4000万円(28位) |
電気機器の中で売上高は32位、総資産は28位。利益率は高めで、純利益率は12.5%の15位、半導体製造装置大手で、ウエハ洗浄装置では世界トップシェアを持つ企業です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4282億6700万円
流動負債:2371億3700万円
固定負債:257億5100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.81倍で基準未達、
②は、固定負債257億円 < 純流動資産1911億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2013年に赤字がありますが、ここ10年はしっかり利益を上げられています。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 54億1800万円 |
2015年3月 | 121億2200万円 |
2016年3月 | 188億1500万円 |
2017年3月 | 241億6800万円 |
2018年3月 | 285億700万円 |
2019年3月 | 180億5900万円 |
2020年3月 | 50億1000万円 |
2021年3月 | 151億6400万円 |
2022年3月 | 454億8100万円 |
2023年3月 | 574億9100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +228.6%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 57.07円 | |
2015年3月 | 127.68円 | 3年平均:127.7円 |
2016年3月 | 198.37円 | |
2017年3月 | 255.98円 | |
2018年3月 | 304.31円 | |
2019年3月 | 193.55円 | |
2020年3月 | 53.68円 | |
2021年3月 | 162.6円 | |
2022年3月 | 488.27円 | 3年平均:419.7円 |
2023年3月 | 608.16円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 12.5円/株 | 0.57% |
2012年3月 | 12.5円/株 | 0.67% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 7.5円/株 | 0.63% |
2015年3月 | 17.5円/株 | 0.77% |
2016年3月 | 30円/株 | 1.35% |
2017年3月 | 43.5円/株 | 1.06% |
2018年3月 | 55円/株 | 1.13% |
2019年3月 | 48.5円/株 | 2.17% |
2020年3月 | 15円/株 | 0.75% |
2021年3月 | 45円/株 | 0.92% |
2022年3月 | 146.5円/株 | 2.37% |
2023年3月 | 182.5円/株 | 3.13% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは27.32倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは5.37倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも146.71で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高4608億円 |
②財務状況 | △ | 流動負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +228.6% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 |
⑥株価収益率 | × | 27.32倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 5.37倍 |
財務状況と配当、株価収益率/純資産倍率の4項目で基準未達となり、
(株)SCREENホールディングスは割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動負債の割合が多く、無配もあり、株価も高いということであれば仕方なしですね。
「ソリューションクリエーターとしての業界でのプレゼンス確立」を基本コンセプトとして、①イノベーションの創出と持続的成長サイクルによる企業価値向上、②収益性と効率性を追求し、利益に見合うキャッシュの創出、③サステナブル企業に向けたESGへの取り組み、を進める。
SCREENが得意とするファウンドリーやロジックでは、投資する技術ノードを柔軟に調整しつつ、最先端の開発投資は継続、加えてレガシー(成熟)ノードへの投資は活発に行われる見込みで、2023年1月に稼働した新工場S³(エス・キューブ)-4による生産増強によって、多様なソリューションの提供と供給責任を果たし、過去最高業績を目指すとのこと。
さらに新たな工場S³(エス・キューブ)-5を2024年1月に完成させ、来るべき次の市場成長、旺盛な半導体需要に応える計画で、今後も成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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