こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるシチズン時計(株)【7762】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったシチズン時計の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・シチズン時計は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
シチズン時計(株)【7762】 の基本情報
・設立年月日 1930年5月28日
・上場年月日 1949年5月
・業種 精密機器
・特色 腕時計と工作機械の2本柱。電波・ソーラー腕時計に強い。機械式時計に注力。小型デバイスも。
・資本金 326億円
・従業員数 (単独)780人 (連結)12,143人
・株価 982円(2024.3.17)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本の精密・電子機器の製造会社であり、シチズングループの中核を成す企業。「シチズン」ブランドの時計で知られるほか、工作機械の分野でもスイス式自動旋盤を中心とする「シンコム」ブランドで有名です。かつては腕時計のムーブメントの生産量世界第1位を誇った国内最大手で、世界シェアの3割以上を持っています。
現在のシチズングループの時計製品はクオーツ式が主流で、主にチタン外装や表面硬化技術(デュラテクト)、太陽光発電(エコ・ドライブ)・電波修正などの最新の技術を駆使した機能を備える実用的な製品を開発、販売しています。
永く広く市民に愛されるように、市民を意味する「CITIZEN」と名付けられたんだそう。
市民に愛され市民に貢献する
高品質と技術力による「市民に愛され親しまれるものづくり」で、世界中で多くの人々に愛されているシチズン時計の製品を通じて、世界の人々の暮らしに広く貢献することを目指されています。
ではここからは、シチズン時計(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
精密機器48社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2394億3300万円(8位) |
売上高 | 3013億6600万円(7位) |
純利益 | 218億3600万円(9位) |
純利益率 | 7.2%(23位) |
総資産 | 4036億800万円(7位) |
精密機器の中で売上高、総資産とも7位。利益率もまずまずで、純利益率は7.2%の23位、時計のムーブメントでは国内首位かつ世界3位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2596億4200万円
流動負債:793億1700万円
固定負債:778億8900万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.27倍で基準達成、
②は、固定負債778億円 < 純流動資産1803億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況は非常にきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2020年と2021年に赤字があります。直近の2021年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で主力の時計販売が落ち込んだほか、連結子会社の希望退職に伴う費用も重荷になったとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 174億3400万円 |
2015年3月 | 175億7200万円 |
2016年3月 | 132億100万円 |
2017年3月 | 165億7300万円 |
2018年3月 | 193億300万円 |
2019年3月 | 133億6900万円 |
2020年3月 | -166億6700万円 |
2021年3月 | -251億7300万円 |
2022年3月 | 221億4000万円 |
2023年3月 | 218億3600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -55.7%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 53.81円 | |
2015年3月 | 54.24円 | 3年平均:49.8円 |
2016年3月 | 41.32円 | |
2017年3月 | 52.07円 | |
2018年3月 | 60.65円 | |
2019年3月 | 42円 | |
2020年3月 | -53.07円 | |
2021年3月 | -80.52円 | |
2022年3月 | 71.38円 | 3年平均:22.0円 |
2023年3月 | 75.25円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7円/株 | 1.1% |
2011年3月 | 7円/株 | 1.46% |
2012年3月 | 8円/株 | 1.53% |
2013年3月 | 8円/株 | 1.62% |
2014年3月 | 13円/株 | 1.67% |
2015年3月 | 16円/株 | 1.74% |
2016年3月 | 17円/株 | 2.66% |
2017年3月 | 17円/株 | 2.38% |
2018年3月 | 22円/株 | 2.88% |
2019年3月 | 20円/株 | 3.24% |
2020年3月 | 12円/株 | 3.13% |
2021年3月 | 5円/株 | 1.32% |
2022年3月 | 18円/株 | 3.45% |
2023年3月 | 34円/株 | 4.37% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.49倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.02倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも11.72で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3013億円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | × | 2020年、2021年赤字 |
④収益成長性 | × | -55.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.37% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.49倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.02倍 |
収益安定性と収益成長性の2項目が基準未達となり、
シチズン時計(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
複数年で赤字あり、成長性もマイナスであれば仕方なしですね。
時計事業と工作機械事業をグループ成長を牽引するコア事業と位置付け、経営資源を戦略的に投資していくことで更なる成長を目指すとともに、デバイス事業及び電子機器他事業は、安定成長を目指しながら、事業や製品の選択と集中を進める。
特に時計事業では、安定的な需要が見込まれる機械式時計市場において、シチズン機械式時計の成長に向け、機械式ムーブメントを搭載した最上位ブランド「The CITIZEN」と、モダンでスポーティなデザインが特徴のブランド「Series 8」の取り組みを強化するそう。
ムーブメント事業についても、更なる製造の自動化、合理化の推進と付加価値化を進めながら収益性の強化を図るとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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