こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つであるTOPPANホールディングス(株)【7911】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったTOPPANホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・TOPPANホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
TOPPANホールディングス(株)【7911】 の基本情報
・設立年月日 1908年6月4日
・上場年月日 1949年5月
・業種 その他製品
・特色 印刷業界の2強。印刷技術を基盤に半導体部材関連、包装資材等に展開。23年秋持株会社に移行。
・資本金 1,049億円
・従業員数 (単独)-人 (連結)53,335人
・株価 3,879円(2024.3.31)
・単元 100株
・決算 3月末日
世界最大規模の総合印刷会社で、社名の「TOPPAN」は創業当時、最新鋭であった銅凸版印刷技術を前面に出すためにつけられたもので、「印刷テクノロジー」をベースにした「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」および「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたる幅広い「拡印刷」事業活動を展開しています。
最近は、従来の印刷だけでなく、印刷技術を応用したデジタル画像処理やエレクトロニクス製品にも力を入れており、カラー液晶に使用される液晶カラーフィルタ、半導体製造の原板となるフォトマスクを取り扱い、特に液晶用カラーフィルタの生産高は世界首位となっています。
大日本印刷(DNP)と双璧をなす、国内印刷業界の2強の一角であり、この両社の売上高合計は業界全体の半分以上を占めています。
Breathing life into culture, with technology and heart.
人を想う感性と心に響く技術で、多様な文化が息づく世界に。
人や集団、地域・国それぞれの個性や生活を尊重しながら、産業や経済の成長・発展はもとより、それらが文化として生き生きと、長く根付いていく世界にしていく。社会に文化の息吹を吹き込んでいくことを目指されています。
ではここからは、TOPPANホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
その他製品107社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆2268億円(4位) |
売上高 | 1兆6388億円(1位) |
純利益 | 608億6600万円(4位) |
純利益率 | 3.7%(56位) |
総資産 | 2兆3473億円(2位) |
その他製品の中で売上高は1位、総資産は2位。利益率は中位で、純利益率は3.7%の56位、印刷業界の2強の一角です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆1060億円
流動負債:4673億9400万円
固定負債:3192億5300万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.37倍で基準達成、
②は、固定負債3192億円 < 純流動資産6386億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況はきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字がありますが、その後はしっかり利益を出されており、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 206億2100万円 |
2015年3月 | 228億6800万円 |
2016年3月 | 352億4500万円 |
2017年3月 | 325億3500万円 |
2018年3月 | 422億6700万円 |
2019年3月 | 410億4900万円 |
2020年3月 | 870億4700万円 |
2021年3月 | 819億9700万円 |
2022年3月 | 1231億8200万円 |
2023年3月 | 608億6600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +220.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 64.24円 | |
2015年3月 | 71.33円 | 3年平均:81.9円 |
2016年3月 | 110.09円 | |
2017年3月 | 101.49円 | |
2018年3月 | 131.32円 | |
2019年3月 | 127.54円 | |
2020年3月 | 261.06円 | |
2021年3月 | 237.16円 | |
2022年3月 | 365.21円 | 3年平均:262.5円 |
2023年3月 | 185.07円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 44円/株 | 2.61% |
2011年3月 | 36円/株 | 2.74% |
2012年3月 | 36円/株 | 2.79% |
2013年3月 | 36円/株 | 2.66% |
2014年3月 | 36円/株 | 2.44% |
2015年3月 | 36円/株 | 1.94% |
2016年3月 | 36円/株 | 1.91% |
2017年3月 | 40円/株 | 1.76% |
2018年3月 | 40円/株 | 2.29% |
2019年3月 | 40円/株 | 2.39% |
2020年3月 | 60円/株 | 3.62% |
2021年3月 | 40円/株 | 2.14% |
2022年3月 | 44円/株 | 2.03% |
2023年3月 | 46円/株 | 1.73% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で500株以上保有の希望者に対して株主優待カレンダーがもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは18.44倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.88倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも16.23で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.6兆円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +220.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り1.73% |
⑥株価収益率 | △ | 18.44倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.88倍 |
株価収益率のみが基準未達となり、
TOPPANホールディングス(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況がきれいで、収益の安定性や成長性、配当もしっかりなのですが株価がちょっと高いですね。惜しいところです。
「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、中期的な経営課題を、①事業ポートフォリオ変革、②経営基盤の強化、③ESGの取り組み深化とし、次の施策を展開することにより経営資源の最適配分と有効活用を進め、事業の拡大を図る。
「事業ポートフォリオ変革」については、DX、国内SX・海外生活系、新事業(フロンティア)の3つを成長事業と位置付け、デジタル技術と高度なオペレーションノウハウを掛け合わせたハイブリッドなDXサービスを根幹に、データ分析、コンサルティングを含めたビジネスモデルの確立などで収益力の向上を目指すとのこと。今後も成長が期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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