こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである三井物産(株)【8031】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った三井物産の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・三井物産は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
三井物産(株)【8031】 の基本情報
・設立年月日 1947年7月25日
・上場年月日 1949年5月
・業種 卸売業
・特色 三井グループ中核の総合商社。鉄鉱石、原油の生産権益量は商社断トツ。インフラ等にも強み。
・資本金 3,430億円
・従業員数 (単独)5,449人 (連結)46,811人
・株価 7,519円(2024.4.28)
・単元 100株
・決算 3月末日
三井グループの大手総合商社で、三菱商事、伊藤忠商事、住友商事、丸紅と共に五大商社の一社で、三井不動産・三井銀行(現三井住友銀行)と並ぶ『三井新御三家』の一つです。鉄鉱石、原油の生産権益量は商社の中でも群を抜いています。
金属資源、エネルギー、プロジェクト、モビリティ、化学品、鉄鋼製品、食料、流通事業、ウェルネス事業、ICT事業、コーポレートディベロップメントの各分野において、全世界に広がる営業拠点とネットワーク、情報力などを活かし、多種多様な商品販売とそれを支えるロジスティクス、ファイナンス、さらには国際的なプロジェクト案件の構築など、各種事業を多角的に展開しています。
日本特有の「総合商社」と称される企業形態の原型を造った日本初の総合商社です。
世界中の未来をつくる
ビジョンには、「360°business innovators」を掲げ、大切な地球と人びとの、豊かで夢あふれる明日を実現し、一人ひとりの「挑戦と創造」で事業を生み育て、社会課題を解決し、成長を続ける企業グループとなることを目指されています。
ではここからは、三井物産(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業315社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 11兆2782億円(2位) |
売上高 | 14兆3064億円(2位) |
純利益 | 1兆1306億円(2位) |
純利益率 | 7.9%(3位) |
総資産 | 16兆4889億円(2位) |
卸売業の中で売上高、総資産とも2位。利益率も高く、純利益率は7.9%の3位、日本の大手総合商社の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:5兆6748億円
流動負債:3兆7666億円
固定負債:5兆491億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.51倍で基準未達、
②は、固定負債5兆491億円 > 純流動資産1兆9082億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2016年に赤字があります。資源価格の下落を受けて同社が出資する海外での非鉄金属やエネルギー関連事業などで2600億円の減損を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 3500億9300万円 |
2015年3月 | 3064億9000万円 |
2016年3月 | -834億1000万円 |
2017年3月 | 3061億3600万円 |
2018年3月 | 4184億7900万円 |
2019年3月 | 4142億1500万円 |
2020年3月 | 3915億1300万円 |
2021年3月 | 3354億5800万円 |
2022年3月 | 9147億2200万円 |
2023年3月 | 1兆1306億円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +368.2%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 192.22円 | |
2015年3月 | 170.98円 | 3年平均:105.6円 |
2016年3月 | -46.53円 | |
2017年3月 | 171.2円 | |
2018年3月 | 237.67円 | |
2019年3月 | 238.33円 | |
2020年3月 | 226.13円 | |
2021年3月 | 199.28円 | |
2022年3月 | 561.61円 | 3年平均:494.2円 |
2023年3月 | 721.82円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 18円/株 | 1.15% |
2011年3月 | 47円/株 | 3.16% |
2012年3月 | 55円/株 | 4.05% |
2013年3月 | 43円/株 | 3.27% |
2014年3月 | 59円/株 | 4.04% |
2015年3月 | 64円/株 | 3.97% |
2016年3月 | 64円/株 | 4.94% |
2017年3月 | 55円/株 | 3.41% |
2018年3月 | 70円/株 | 3.84% |
2019年3月 | 80円/株 | 4.65% |
2020年3月 | 80円/株 | 5.32% |
2021年3月 | 85円/株 | 3.69% |
2022年3月 | 105円/株 | 3.16% |
2023年3月 | 140円/株 | 3.4% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.96倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.59倍であり、①のPBRは惜しくも基準未達です。
②のPER × PBRは19.02で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高14.3兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2016年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +368.2% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.4% |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.96倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.59倍 |
財務状況と収益安定性、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
三井物産(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
成長性もあり、配当もしっかりなのですが、赤字があり、負債も多すぎますね。仕方ありません。
サステナビリティを経営の中核に据え、グローバル・サステナビリティの視点から、あらゆる産業の社会課題を掘り起こし、そこから新しいビジネスイノベーションを生み出し、強い事業群及び新しい産業の創出を目指す。
新中期経営計画「Creating Sustainable Futures」では、5つのCorporate Strategyを策定し、その中の一つ「創る・育てる・展(ひろ)げる」(ビジネスモデル)の推進では、コア事業と周辺事業を組み合わせ、社会課題に対し時間軸を踏まえた最良の現実解を提供していくとのこと。
自社が知見を有する領域の周辺で事業を強化することで事業の成功確度を上げ、インパクトある収益基盤・事業群の構築に向け、全社最適視点での経営資源配分を徹底していくそうです。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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