こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東京エレクトロン(株)【8035】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東京エレクトロンの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東京エレクトロンは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東京エレクトロン(株)【8035】 の基本情報
・設立年月日 1963年11月11日
・上場年月日 1980年6月
・業種 電気機器
・特色 半導体製造装置で世界3位。コータデベロッパー、エッチング装置、成膜装置など前工程に強み。
・資本金 549億円
・従業員数 (単独)2,039人 (連結)17,553人
・株価 34,230円(2024.4.28)
・単元 100株
・決算 3月末日
半導体製造装置及びFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)製造装置、電子部品・情報通信機器の産業用エレクトロニクス製品を製造・販売しています。
B2B事業をやっているため、知名度が高くありませんが、半導体製造装置分野ではアメリカのアプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、オランダのASMLと競合する世界的な一流企業です。また、フラットパネルディスプレイ分野では、次世代OLED量産方式であるInkjet Printing技術を保有しています。
成長産業であり、参入障壁の非常に高い半導体製造装置の設計、製造、品質管理が一貫して担えることが大きな強みです。
最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します
「半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社」をビジョンとし、世の中の持続的な発展を支える半導体の技術革新を追求し、付加価値の高い最先端の装置と技術サービスを継続的に創出することで、中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を目指されています。
ではここからは、東京エレクトロン(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
電気機器240社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 15兆8452億円(3位) |
売上高 | 2兆2090億円(10位) |
純利益 | 4715億8400万円(3位) |
純利益率 | 21.3%(4位) |
総資産 | 2兆2174億円(13位) |
電気機器の中で売上高は10位、総資産は13位。利益率が非常に高く、純利益率は21.3%の4位、半導体製造装置で世界トップレベルの一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:1兆7409億円
流動負債:6298億9300万円
固定負債:821億7500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.76倍で基準達成、
②は、固定負債821億円 < 純流動資産1兆1110億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況は非常にきれいですね。基準達成です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2014年に赤字があります。主力の半導体製造装置は好調だったが、太陽光パネルの製造装置事業の見直しなどで469億円の減損損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | -194億800万円 |
2015年3月 | 718億8800万円 |
2016年3月 | 778億9100万円 |
2017年3月 | 1152億800万円 |
2018年3月 | 2043億7100万円 |
2019年3月 | 2482億2800万円 |
2020年3月 | 1852億600万円 |
2021年3月 | 2429億4100万円 |
2022年3月 | 4370億7600万円 |
2023年3月 | 4715億8400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +880.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | -36.1円 | |
2015年3月 | 133.69円 | 3年平均:83.8円 |
2016年3月 | 153.7円 | |
2017年3月 | 234.08円 | |
2018年3月 | 415.16円 | |
2019年3月 | 504.53円 | |
2020年3月 | 390.19円 | |
2021年3月 | 520.73円 | |
2022年3月 | 935.95円 | 3年平均:821.5円 |
2023年3月 | 1007.82円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 4円/株 | 0.19% |
2011年3月 | 38円/株 | 2.49% |
2012年3月 | 26.67円/株 | 1.69% |
2013年3月 | 17円/株 | 1.22% |
2014年3月 | 16.67円/株 | 0.79% |
2015年3月 | 47.67円/株 | 1.71% |
2016年3月 | 79円/株 | 3.23% |
2017年3月 | 117.33円/株 | 2.9% |
2018年3月 | 208円/株 | 3.12% |
2019年3月 | 252.67円/株 | 4.74% |
2020年3月 | 196円/株 | 2.89% |
2021年3月 | 260.33円/株 | 1.67% |
2022年3月 | 467.67円/株 | 2.22% |
2023年3月 | 570.33円/株 | 3.56% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは46.80倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは10.13倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも474.08で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高2.2兆円 |
②財務状況 | ◎ | 文句なし |
③収益安定性 | △ | 2014年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +880.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.56% |
⑥株価収益率 | × | 46.80倍 |
⑦株価純資産倍率 | × | 10.13倍 |
収益安定性と株価収益率、株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、
東京エレクトロン(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
財務状況はきれいで、成長性も非常に高く、配当もしっかりであるものの、赤字があり、既に株価が上がりすぎています。
半導体の重要性がさらに高まり、半導体製造装置市場がこれからも大きく成長していくことが予想される中、当社のマテリアリティ(重要分野)として定めた高い収益力に基づく強い経営基盤のもと、製品競争力と顧客対応力の強化、生産性の向上に努め、オンリーワンプロダクトの創出により業界をリードしていく。
将来、お客さまが必要とする高付加価値の最先端技術製品をいち早く市場に投入するとともに最良の技術サービスを提供し、オンリーワンプロダクトの創出に向け、得意とする分野、蓄積された技術、経営ノウハウが活きる分野でビジネスを展開していくとのこと。半導体市場の成長は続きそうですし、まだまだ期待できそうですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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