こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである住友商事(株)【8053】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った住友商事の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・住友商事は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
住友商事(株)【8053】 の基本情報
・設立年月日 1919年12月24日
・上場年月日 1949年8月3日
・業種 卸売業
・特色 住友系の総合商社。油井管など鋼管は強大、CATVなどメディアも強い。資源は非鉄が軸。
・資本金 2,204億円
・従業員数 (単独)5,068人 (連結)78,235人
・株価 3,909円(2024.4.30)
・単元 100株
・決算 3月末日
住友グループの大手総合商社で、「金属」「輸送機・建機」「インフラ」「メディア・デジタル」「生活・不動産」「資源・化学品」の6つの事業部門、「エネルギーイノベーション」のイニシアチブ(次世代事業開発)と国内・海外の地域組織が連携し、強みである「総合力」を発揮しながら、日本はもとより世界各地でグローバルに事業を展開しています。
三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅と共に五大商社の一社で、幅広い産業分野において、資源開発や製造事業などの川上分野から流通事業などの川中分野、そして小売り・サービス業などの川下分野に至るまで事業領域を拡大し、バリューチェーンを構築しています。
堅実経営を徹底している一方、メディア事業に強みを持ち、先端技術への適応力もあります。
健全な事業活動を通じて豊かさと夢を実現する。
「人間尊重を基本とし、信用を重んじ確実を旨とする。」を経営姿勢とし、「常に変化を先取りして新たな価値を創造し、広く社会に貢献するグローバルな企業グループ」となることを目指されています。
ではここからは、住友商事(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
卸売業315社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4兆7762億円(4位) |
売上高 | 6兆8178億円(6位) |
純利益 | 5651億7800万円(4位) |
純利益率 | 8.3%(1位) |
総資産 | 10兆7192億円(4位) |
卸売業の中で売上高は6位、総資産は4位。利益率はこの業種では極めて高く、純利益率は8.3%の1位、日本の大手総合商社の一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:4兆8729億円
流動負債:2兆9651億円
固定負債:3兆1636億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.64倍で基準未達、
②は、固定負債3兆1636億円 > 純流動資産1兆9078億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2015年と2021年に赤字があります。特に赤字幅の大きかった2021年は資源・化成品事業に分類されるマダガスカルでのニッケル事業が操業停止に陥り、大幅な損失を計上したとのこと。残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 2230億6400万円 |
2015年3月 | -731億7000万円 |
2016年3月 | 745億4600万円 |
2017年3月 | 1708億8900万円 |
2018年3月 | 3085億2100万円 |
2019年3月 | 3205億2300万円 |
2020年3月 | 1713億5900万円 |
2021年3月 | -1530億6700万円 |
2022年3月 | 4636億9400万円 |
2023年3月 | 5653億3300万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +290.3%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 178.59円 | |
2015年3月 | -58.64円 | 3年平均:59.9円 |
2016年3月 | 59.73円 | |
2017年3月 | 136.91円 | |
2018年3月 | 247.13円 | |
2019年3月 | 256.7円 | |
2020年3月 | 137.21円 | |
2021年3月 | -122.47円 | |
2022年3月 | 370.96円 | 3年平均:233.8円 |
2023年3月 | 452.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 24円/株 | 2.23% |
2011年3月 | 36円/株 | 3.03% |
2012年3月 | 50円/株 | 4.18% |
2013年3月 | 46円/株 | 3.9% |
2014年3月 | 47円/株 | 3.58% |
2015年3月 | 50円/株 | 3.89% |
2016年3月 | 50円/株 | 4.47% |
2017年3月 | 50円/株 | 3.34% |
2018年3月 | 62円/株 | 3.46% |
2019年3月 | 75円/株 | 4.9% |
2020年3月 | 80円/株 | 6.46% |
2021年3月 | 70円/株 | 4.44% |
2022年3月 | 110円/株 | 5.19% |
2023年3月 | 115円/株 | 4.91% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは9.56倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.12倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも10.71で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高6.8兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2015年と2021年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +290.3% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.91% |
⑥株価収益率 | ◎ | 9.56倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.12倍 |
財務状況と収益安定性の2項目で基準未達となり、
住友商事(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
成長性は高く、配当はしっかり、PERとPBRも低いものの、負債が多すぎますし、複数年で赤字がありますからね。仕方ありません。
「SHIFT 2023」において、株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字を確保する方針を堅持し、投融資と資産入替を着実に進め、高い収益性と下方耐性の強い事業ポートフォリオへのシフトに取り組む。
高い収益性と下方耐性の強い事業ポートフォリオの構築に向けて既存事業の撤退、収益改善を進める一方、総合商社であるとして強みを活かし、収益を支える事業群の拡大や将来の収益の柱となる新たなコア事業の創出にも注力していくとのこと。今後に期待しましょう。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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