
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)丸井グループ【8252】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


この記事でわかること
・バリュー投資の7つの基準に沿った丸井グループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・丸井グループは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株は何か?を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


(株)丸井グループ【8252】 の基本情報
・設立年月日 1937年3月30日
・上場年月日 1963年4月
・業種 小売業
・特色 小売店は自社での販売から賃貸へ移行。自社「エポスカード」による割賦販売・手数料収入が柱。
・資本金 359億円
・従業員数 (単独)192人 (連結)4,591人
・株価 2,090円(2023.1.17)
・単元 100株
・決算 3月末日


丸井グループは、ファッションビルの丸井やクレジットカード事業を行うエポスカードなどを傘下に持つ持株会社です。「小売事業」「フィンテック事業」の2事業で区分されてます。
家具の社名・店名の由来は、1931年に富山県出身の創業者・青井忠治が月賦商の「丸二商会」から暖簾分けして新しい店を構え、店名を「丸井」としたもので、当時は「丸」に自分の名前や姓を加えると繁盛するというジンクスがあったそうです。
家具の割賦販売をルーツに持ち、戦後は月賦百貨店として「500円で5,000円のお買い物!」の宣伝文句の下に家具や家電といった耐久消費財の割賦販売により事業を拡大。日本で初めて「クレジット」という名称を使用した「クレジット・カード」(現在のエポスカード)を1960年1月に発行しています。
100%子会社である株式会社丸井は、新宿や渋谷といった東京都心部のターミナル駅至近を中心にファッションビル業態の商業施設を展開する日本の企業で、店舗ブランドの「マルイ」は「OIOI」または「0101」とも表記される。
ファッションのイメージが強いですが、経営上は同等あるいはそれ以上に金融業を重視し、小売と金融を一体とした事業を長く行っています。
「お客さまのお役に立つために進化し続ける 人の成長=企業の成長」
を経営理念とし、社員一人ひとりが「共感する力」を通じて役に立ち、社会や環境の課題解決につながる「革新する力」を生み出し、この共感と革新する力を通じて、社員一人ひとりが自己実現を果たしていくことでグループ全体の成長につなげることを目指されています。
ではここからは、(株)丸井グループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
小売業100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 4252億1200万円(19位) |
売上高 | 2093億2300万円(67位) |
営業利益 | 367億8400万円(14位) |
経常利益 | 355億4700万円(16位) |
純利益 | 177億9100万円(22位) |
営業利益率 | 17.6%(2位) |
純利益率 | 8.5%(6位) |
総資産 | 9552億2200万円(11位) |
負債 | 6883億8600万円(8位) |
小売業の中で売上高は67位、総資産は11位。利益率はなかなか高く、純利益率は8.5%の6位、日本の小売業を担う大手の一社であり、事業規模は十分です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「年内に現金になる資産(流動資産)が、年内に支払うべき負債(流動負債)の2倍以上であること」。 また、②「来年以降に支払うべき負債(長期負債=固定負債)が、流動資産からすべての負債を差し引いた純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:6480億2900万円
流動負債:2660億6800万円
固定負債:3919億500万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.44倍で基準達成、
②は、固定負債3919億500万円 > 純流動資産3819億6100万円 でギリギリ基準未達となり、
よって、流動資産に対して固定負債の割合がわずかに高いですね。残念ながら、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、毎年しっかり利益を上げられおり、問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 132億5500万円 |
2014年3月 | 154億900万円 |
2015年3月 | 160億3600万円 |
2016年3月 | 177億7100万円 |
2017年3月 | 187億2400万円 |
2018年3月 | 209億700万円 |
2019年3月 | 253億4100万円 |
2020年3月 | 253億9600万円 |
2021年3月 | 22億6700万円 |
2022年3月 | 177億9100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、EPSの最初の3年平均が52.3円、直近の3年平均が71.3円なので、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 36.5%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 41.6円 | |
2014年3月 | 56.29円 | 3年平均:52.3円 |
2015年3月 | 58.86円 | |
2016年3月 | 70.68円 | |
2017年3月 | 80.24円 | |
2018年3月 | 93.18円 | |
2019年3月 | 115.98円 | |
2020年3月 | 117.57円 | |
2021年3月 | 10.57円 | 3年平均:71.3円 |
2022年3月 | 85.81円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 14円/株 | 2.06% |
2011年3月 | 14円/株 | 2.61% |
2012年3月 | 14円/株 | 2.03% |
2013年3月 | 15円/株 | 1.54% |
2014年3月 | 18円/株 | 2.03% |
2015年3月 | 19円/株 | 1.39% |
2016年3月 | 22円/株 | 1.36% |
2017年3月 | 33円/株 | 2.18% |
2018年3月 | 38円/株 | 1.75% |
2019年3月 | 49円/株 | 2.19% |
2020年3月 | 50円/株 | 2.75% |
2021年3月 | 51円/株 | 2.45% |
2022年3月 | 52円/株 | 2.31% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PER(株価収益率)」が15倍以下であること。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは19.43倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBR(株価純資産倍率)が1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.56倍であり、①のPBRは基準未達です。
②のPER × PBRも30.31で基準未達です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高2093億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | 〇 | +36.5% |
⑤配当 | 〇 | 利回り2.31% |
⑥株価収益率 | △ | 19.86倍 |
⑦株価純資産倍率 | △ | 1.59倍 |
財務状況と株価収益率と株価純資産倍率の3項目で基準未達となり、「(株)丸井グループは割安株に該当しない」という結果となりました。収益安定性/成長性は高く、配当もしっかりしているものの、負債とPER、PBRが若干高いですね。あと一歩ではありますが仕方ありません。
丸井グループでは、2019年に策定した「丸井グループビジョン2050」にもとづき、サステナビリティとWell-beingに関わる目標を「インパクト」として定義しています。
「将来世代の未来を共に創る」「一人ひとりの『しあわせ』を共に創る」「共創のプラットフォームをつくる」の3つの目標を達成すべく、主要な取り組み項目を中期経営計画の主要KPIとして設定し、さらに財務指標として、EPS200円以上、ROE13%以上、ROIC4%以上を目指すとのこと。今後に期待ですね。
というわけで現時点では、
「バリュー投資」の7つの基準をすべてクリアしているのは、
・コムシスホールディングス【1721】
・積水ハウス【1928】
・宝ホールディングス【2531】
・SUMCO【3436】
・東ソー【4042】
・日本ガイシ【5333】
・アマダ【6113】
・太陽誘電【6976】
・日東電工【6988】
・ヤマハ発動機【7272】
・凸版印刷【7911】
の11社となりました。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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