こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである東京建物(株)【8804】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った東京建物の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・東京建物は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
東京建物(株)【8804】 の基本情報
・設立年月日 1896年10月1日
・上場年月日 1949年5月
・業種 不動産業
・特色 旧安田系の総合不動産。賃貸ビルとマンションが主力。オフィスや物流など収益物件開発を強化。
・従業員数 (単独)807人 (連結)4,661人
・株価 2,546.5円(2024.6.9)
・単元 100株
・決算 12月末日
安田財閥の創始者、安田善次郎が明治29年に設立した日本で最も古い歴史を持つ総合不動産会社
設立当初より、日本で最初の住宅ローンを開始したり、1998年には国内で初のSPC法に基づく不動産証券化第1号登録を取得するなど、不動産業界の中では先駆的な役割を果たしてきた会社で、不動産の鑑定に関しての明治30年代以降から業務を行うなど、歴史も大変古く、不動産鑑定業界においても草分け的な存在です。
その名の通り、東京に特化したエリア戦略が特徴で、競争力が高く、地価の上がり続ける都心部、特に八重洲周辺のオフィスビル開発に力を入れています。
信頼を未来へ
世紀を超えた信頼を誇りとし、企業の発展と豊かな社会づくりに挑戦されています。
最近では「洗練」と「安心」をブランドコンセプトに、企画・開発から管理、修繕・リフォーム、仲介まで、顧客の快適な生活につながるあらゆる業務を一貫して提供する独自の体制を強みとして、都心立地を中心に開発・運営を行う分譲住宅事業、「Brillia」シリーズなんかも有名ですね。
ではここからは、東京建物に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
不動産業137社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 5319億9900万円(9位) |
売上高 | 3759億4600万円(11位) |
純利益 | 450億8400万円(8位) |
純利益率 | 12.0%(19位) |
総資産 | 2兆93億円(7位) |
不動産業の中で売上高は11位、総資産は7位。利益率もかなり高く、純利益率は12.0%の19位、不動産業界の中では先駆的な役割を果たしてきた一社です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年12月期の決算短信によると、
流動資産:6924億6400万円
流動負債:2400億5700万円
固定負債:1兆1572億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 2.88倍で基準達成、
②は、固定負債1.1兆円 > 純流動資産4524億円 で基準未達となり、
流動資産に対して固定負債の割合が高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2011年に赤字がありますが、その後は毎年しっかり利益を上げられており、問題ありません。
年度 | 純利益 |
2014年12月 | 829億4400万円 |
2015年12月 | 163億5900万円 |
2016年12月 | 197億4200万円 |
2017年12月 | 225億9900万円 |
2018年12月 | 272億7700万円 |
2019年12月 | 297億9600万円 |
2020年12月 | 317億9500万円 |
2021年12月 | 349億6500万円 |
2022年12月 | 430億6200万円 |
2023年12月 | 450億8400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +6.5%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年12月 | 386.24円 | |
2015年12月 | 75.91円 | 3年平均:184.4円 |
2016年12月 | 91円 | |
2017年12月 | 104.17円 | |
2018年12月 | 125.79円 | |
2019年12月 | 141.58円 | |
2020年12月 | 152.11円 | |
2021年12月 | 167.35円 | |
2022年12月 | 206.15円 | 3年平均:196.4円 |
2023年12月 | 215.82円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、赤字のあった2011年が無配となっています。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2009年12月 | 20円/株 | 2.82% |
2010年12月 | 16円/株 | 2.13% |
2011年12月 | 0円/株 | 0% |
2012年12月 | 10円/株 | 1.14% |
2013年12月 | 10円/株 | 0.43% |
2014年12月 | 12円/株 | 0.68% |
2015年12月 | 20円/株 | 1.51% |
2016年12月 | 26円/株 | 1.66% |
2017年12月 | 30円/株 | 1.97% |
2018年12月 | 35円/株 | 3.07% |
2019年12月 | 41円/株 | 2.4% |
2020年12月 | 46円/株 | 3.25% |
2021年12月 | 51円/株 | 3.04% |
2022年12月 | 65円/株 | 4.07% |
2023年12月 | 73円/株 | 3.46% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは11.08であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.04倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも11.52で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3759億円 |
②財務状況 | △ | 固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | △ | +6.5% |
⑤配当 | △ | 2011年無配 |
⑥株価収益率 | 〇 | 11.08倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.04倍 |
財務状況、収益成長性、配当の3項目で基準未達となり、
東京建物(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
安定感はあるのですが、成長性が物足りなく、無配もあり、流動資産に対して固定負債の割合が高いですね。三井不動産、三菱地所と同様、不動産業という事業柄、どうしても固定負債は多くなるようです。仕方ありません。
「社会課題の解決」と、「企業としての成長」をこれまでとは違ったレベルで両立させる次世代の視点を持ち、どのような局面でもしなやかに対応ができる企業体に生まれ変わっていく。
顧客の価値観・ニーズの変化に的確に対応した商品・サービスの提供や事業におけるデジタルトランスフォーメーションに注力することにより、「場の価値」と「体験価値」の創出を通じて人々の心豊かな暮らしに貢献していくとのこと。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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