こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである商船三井(株)【9104】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った商船三井の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・商船三井は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
商船三井(株)【9104】 の基本情報
・設立年月日 1884年5月1日
・上場年月日 1949年7月
・業種 海運業
・特色 海運大手。鉄鉱石船、タンカー、LNG船中心に不定期船に強い。コンテナ船は18年4月事業統合。
・従業員数 (単独)1,243人 (連結)9,795人
・株価 4,818円(2024.6.29)
・単元 100株
・決算 3月末日
日本郵船・川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の一社で、連結純利益、連結売上高および時価総額で国内2位、LNG輸送および海洋事業の分野に強みを持つ
鉄鋼原料、石炭、木材チップなどを運ぶ各種専用船、原油を運ぶタンカー、液化天然ガスを運ぶLNG船、自動車船、様々な製品を運ぶコンテナ船など、多彩な分野で事業を展開されています。
海運のスペシャリストで、売上の9割以上が海運に関わる事業が占め、運航船舶数も日本最多です。
青い海から人々の毎日を支え、豊かな未来をひらきます
ビジョンには、「海運業を中心に様々な社会インフラ事業を展開し、環境保全を始めとした変化する社会のニーズに技術とサービスの進化で挑む。商船三井は全てのステークホルダーに新たな価値を届け、グローバルに成長する強くしなやかな企業グループを目指します。」を掲げています。
ではここからは、商船三井に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
海運業11社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 1兆7457億円(2位) |
売上高 | 1兆6279億円(2位) |
純利益 | 2616億5100万円(1位) |
純利益率 | 16.1%(1位) |
総資産 | 4兆1205億円(2位) |
海運業の中で売上高、総資産とも2位。利益率も非常に高く、純利益率は16.1%の1位、日本郵船に次ぐ海運国内2位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2024年3月期の決算短信によると、
流動資産:4657億9600万円
流動負債:6473億4200万円
固定負債:1兆1035億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.72倍で基準未達、
②も、固定負債1.1兆円 > 純流動資産-1815億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2016年と2018年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2016年は世界景気の減速で鉄鉱石や石炭を運ぶばら積み船や貨物を運ぶコンテナ船の運賃が低迷したとのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2015年3月 | 423億5600万円 |
2016年3月 | -1704億4700万円 |
2017年3月 | 52億5700万円 |
2018年3月 | -473億8000万円 |
2019年3月 | 268億7500万円 |
2020年3月 | 326億2300万円 |
2021年3月 | 900億5200万円 |
2022年3月 | 7088億1900万円 |
2023年3月 | 7960億6000万円 |
2024年3月 | 2616億5100万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +1530.6%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2015年3月 | 118.05円 | |
2016年3月 | -475.01円 | 3年平均:-114.1円 |
2017年3月 | 14.65円 | |
2018年3月 | -132.05円 | |
2019年3月 | 74.91円 | |
2020年3月 | 90.93円 | |
2021年3月 | 250.99円 | |
2022年3月 | 1970.15円 | |
2023年3月 | 2204.03円 | 3年平均:1632.3円 |
2024年3月 | 722.85円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2013年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 10円/株 | 0.45% |
2011年3月 | 33.33円/株 | 2.09% |
2012年3月 | 16.67円/株 | 1.39% |
2013年3月 | 0円/株 | 0% |
2014年3月 | 16.67円/株 | 1.24% |
2015年3月 | 23.33円/株 | 1.72% |
2016年3月 | 16.67円/株 | 2.18% |
2017年3月 | 6.67円/株 | 0.57% |
2018年3月 | 6.67円/株 | 0.65% |
2019年3月 | 15円/株 | 1.89% |
2020年3月 | 21.67円/株 | 3.72% |
2021年3月 | 50円/株 | 3.87% |
2022年3月 | 400円/株 | 11.7% |
2023年3月 | 560円/株 | 16.92% |
2024年3月 | 220円/株 | 4.77% |
なお、株主優待は3月末と9月末の権利確定で100株以上保有なら客船「にっぽん丸」クルーズの10%割引券がもらえます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは8.12であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.74倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも6.01で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高1.6兆円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2016年と2018年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +1530.6% |
⑤配当 | △ | 2013年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 8.12倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.74倍 |
財務状況、収益安定性、配当の3項目で基準未達となり、
商船三井(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多く、複数年で赤字があり、配当も不安定となるとちょっと厳しいですね。
海運事業においては、低脱炭素化の流れを受けた代替エネルギーの輸送需要のみならず、そのサプライチェーン上流分野への投資機会も追究する
非海運事業(海洋事業・洋上風力発電・物流・不動産)についても、積極投資を継続し、利益水準を大幅に引き上げるとのこと。今後に期待です。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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