
こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである川崎汽船(株)【9107】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。


・バリュー投資の7つの基準に沿った川崎汽船の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・川崎汽船は割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。



日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。


川崎汽船(株)【9107】 の基本情報
・設立年月日 1919年4月5日
・上場年月日 1950年1月
・業種 海運業
・特色 海運大手3社の一角。電力炭船、自動車船等強い。売上比率高いコンテナ船は2018年4月事業統合。
・資本金 754億円
・従業員数 (単独)824人 (連結)5,438人
・株価 3,125円(2023.5.4)
・単元 100株
・決算 3月末日


日本郵船・商船三井と並ぶ日本の三大海運会社の一社で、日本郵船・商船三井に次いで国内第3位の規模を持つ。上位2社と比較するとコンテナ船への依存率が高い。
1919年に川崎造船所(現・川崎重工業)の船舶部が独立する形で、同社の現物出資によって設立され、コンテナ船のほか、石炭・鉄鉱石などの不定期貨物船、自動車運搬船、LNGタンカー、石油タンカーなどを運航しています。
海運業を主軸とする物流企業として、人々の豊かな暮らしに貢献します。
ビジョンには、「全てのステークホルダーから信頼されるパートナーとして、グローバル社会のインフラを支えることで持続的成長と企業価値向上を目指します。」を掲げています。
ではここからは、川崎汽船に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
海運業11社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 8354億6700万円(3位) |
売上高 | 7569億8300万円(3位) |
営業利益 | 176億6300万円(4位) |
経常利益 | 6575億400万円(3位) |
純利益 | 6424億2400万円(3位) |
営業利益率 | 2.3%(10位) |
純利益率 | 84.9%(1位) |
総資産 | 2兆893億円(3位) |
負債 | 5246億7800万円(3位) |
海運業の中で売上高、総資産とも3位。利益率も高く、純利益率は驚異の84.9%で1位、日本郵船、商船三井に次ぐ海運国内3位です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2022年3月期の決算短信によると、
流動資産:4310億8900万円
流動負債:2515億3800万円
固定負債:3385億3800万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 1.71倍で基準未達、
②も、固定負債3385億円 > 純流動資産1795億円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合も高いですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績で確認すると、2016年と2017年、2019年に赤字がありますね。特に赤字幅の大きかった2017年はコンテナ船事業で収益性の低下が長期化し、保有船舶の減損損失などが発生したとのこと。基準未達です。
年度 | 純利益 |
2013年3月 | 106億6900万円 |
2014年3月 | 166億4200万円 |
2015年3月 | 268億1800万円 |
2016年3月 | -514億9900万円 |
2017年3月 | -1394億7800万円 |
2018年3月 | 103億8400万円 |
2019年3月 | -1111億8800万円 |
2020年3月 | 52億6900万円 |
2021年3月 | 1086億9500万円 |
2022年3月 | 6424億2400万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = 1305.2%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2013年3月 | 37.86円 | |
2014年3月 | 59.16円 | 3年平均:64.1円 |
2015年3月 | 95.34円 | |
2016年3月 | -183.16円 | |
2017年3月 | -496.07円 | |
2018年3月 | 37.04円 | |
2019年3月 | -397.36円 | |
2020年3月 | 18.83円 | |
2021年3月 | 388.44円 | 3年平均:901.0円 |
2022年3月 | 2295.84円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、2012年,2017年~2021年が無配ですね。残念ながら基準未達です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2011年3月 | 8.33円/株 | 2.09% |
2012年3月 | 0円/株 | 1.39% |
2013年3月 | 8.33円/株 | 0% |
2014年3月 | 15円/株 | 1.24% |
2015年3月 | 28.33円/株 | 1.72% |
2016年3月 | 16.67円/株 | 2.18% |
2017年3月 | 0円/株 | 0.57% |
2018年3月 | 0円/株 | 0.65% |
2019年3月 | 0円/株 | 1.89% |
2020年3月 | 0円/株 | 3.72% |
2021年3月 | 0円/株 | 3.87% |
2022年3月 | 200円/株 | 11.7% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは1.33であり、基準達成です。
ただこの数字はコロナ禍によるサプライチェーンの混乱でコンテナ船の需要がひっ迫したことで発生した海運バブルによるものと言われており、今後の再現性は低いです。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.54倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも0.72で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | ◎ | 売上高7569億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | × | 2016年,2017年,2019年赤字 |
④収益成長性 | ◎ | +1305.2% |
⑤配当 | × | 12年中6年無配 |
⑥株価収益率 | ◎ | 1.33倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.54倍 |
財務状況、収益安定性、配当の3項目で基準未達となり、



川崎汽船(株)は割安株に該当しません!
という結果となりました。
流動資産に対して流動/固定負債が多く、複数年で赤字があり、配当も不安定となるとちょっと厳しいですね。
低炭素・脱炭素化を事業機会として捉え、成長を牽引する役割の事業に経営資源を集中し、自営事業の収益を倍増させ、コンテナ船事業の利益と同程度まで拡大する
グループの技術・専門性を磨き上げ、デジタルトランスフォーメーション、環境・技術の高度化、そして安全・船舶品質管理を通じて安全で最適なサービスを提供するとともに、株主還元についても積極的に進め、中計期間で累計4000~5000億円規模の株主還元を実施する計画とのこと。今後に期待です。
というわけで現時点では、割安株に該当したのは以下の12社となります。
1. コムシスホールディングス【1721】
2. 積水ハウス【1928】
3. 宝ホールディングス【2531】
4. SUMCO【3436】
5. 東ソー【4042】
6. 日本ガイシ【5333
7. アマダ【6113】
8. 太陽誘電【6976】
9. 日東電工【6988】
10. ヤマハ発動機【7272】
11. 凸版印刷【7911】
12. クレディセゾン【8253】
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。


以上、皆さんの参考になれば幸いです。




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