こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである宝ホールディングス(株)【2531】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った宝ホールディングスの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・宝ホールディングスは割安株なのか?
あくまでIR情報などから機械的に評価したものですから、個人的な思いや先入観などは入っておらず、特定の企業を持ち上げたり卑下する意図はありませんのでご了承ください。
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
宝ホールディングス(株)【2531】 の基本情報
・設立年月日 1925年9月6日
・上場年月日 1949年5月
・業種 食料品
・特色 傘下に宝酒造とタカラバイオ。清酒・焼酎、みりん最大手。日本食材卸など海外売上比率4割以上。
・資本金 132億円
・従業員数 (単独)190人 (連結)5,171人
・株価 1,242円(2023.8.5)
・単元 100株
・決算 3月末日
国内の酒類・調味料事業を担う宝酒造、海外で日本食材卸事業や酒類事業を展開する宝酒造インターナショナルグループ、バイオ事業を推進するタカラバイオグループなどを傘下に置き、グループ全社の経営を調整・統括し、最大限の事業成果を追求されています。
中核事業である国内酒類・調味料事業は、宝酒造を中心として、清酒・焼酎や和の調味料の本みりんなど、日本の伝統的な酒類・調味料である「和酒」に強みを持つ国内有数のメーカーとして、独自の技術開発力と安定的な生産体制から生み出されるバランスのとれた商品ポートフォリオを築いています。
やっぱり宝酒造のcanチューハイ、焼酎ハイボール、あとは日本酒の松竹梅、タカラ本みりんなんかもよく使いますね。
自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。
企業理念の実現に向けて、大切にしていくべき価値観すべきかを「TaKaRa Five Values」と定め、
・信用が第一
・技術・品質主義
・チャレンジ精神
・多様な力の結集
・自分ごと化
の5つを共通の価値観として定義されています。
ではここからは、宝ホールディングス(株)に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
食料品100社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2455億4800万円(23位) |
売上高 | 3506億6500万円(27位) |
営業利益 | 379億4500万円(11位) |
経常利益 | 387億600万円(11位) |
純利益 | 212億600万円(12位) |
営業利益率 | 10.8%(6位) |
純利益率 | 6.0%(17位) |
総資産 | 3991億7400万円(23位) |
負債 | 1438億5600万円(23位) |
食料品の中で売上高は27位、総資産は23位。利益率はまずまず高く、純利益率は6.0%の17位。清酒、焼酎、みりんの最大手です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2415億1300万円
流動負債:674億5400万円
固定負債:764億100万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 3.58倍で基準達成、
②も、固定負債764億円 < 純流動資産1740億円 で基準達成となり、
流動資産に対して流動/固定いずれの負債の割合も低く、財務状況はかなり健全ですね。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
宝HDの業績を確認すると、全く赤字はなく基準達成です。利益の額も安定感がありますね。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 102億8000万円 |
2015年3月 | 57億600万円 |
2016年3月 | 70億5500万円 |
2017年3月 | 84億8000万円 |
2018年3月 | 110億2900万円 |
2019年3月 | 104億1100万円 |
2020年3月 | 89億8000万円 |
2021年3月 | 105億7400万円 |
2022年3月 | 207億6900万円 |
2023年3月 | 212億600万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間の1株当たり純利益(EPS)が最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
過去10年のIR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均 ) / 最初の3年平均 × 100 = 132.7%となり、基準達成です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 50.82円 | |
2015年3月 | 28.36円 | 3年平均:38.1円 |
2016年3月 | 35.06円 | |
2017年3月 | 42.14円 | |
2018年3月 | 54.97円 | |
2019年3月 | 52.15円 | |
2020年3月 | 45.11円 | |
2021年3月 | 53.48円 | |
2022年3月 | 105.05円 | 3年平均:88.6円 |
2023年3月 | 107.26円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
宝HDのIR情報を確認すると、 毎年しっかり配当を出されており、基準達成です。連続増配もされていて素晴らしいですね。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 8.5円/株 | 1.62% |
2011年3月 | 8.5円/株 | 2.07% |
2012年3月 | 9円/株 | 1.6% |
2013年3月 | 9円/株 | 1.14% |
2014年3月 | 11円/株 | 1.4% |
2015年3月 | 10円/株 | 1.15% |
2016年3月 | 12円/株 | 1.29% |
2017年3月 | 13円/株 | 1.08% |
2018年3月 | 16円/株 | 1.35% |
2019年3月 | 18円/株 | 1.38% |
2020年3月 | 20円/株 | 2.47% |
2021年3月 | 21円/株 | 1.39% |
2022年3月 | 37円/株 | 3.36% |
2023年3月 | 38円/株 | 3.72% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で100株以上で1000円相当、1000株以上で3000円のグループ商品がもらえます。選択肢としては、①酒類詰め合わせ、②調味料詰め合わせ、③社会貢献活動への寄付、の3つから選べます。1%程度の配当があることになりますね。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは16.37倍であり、基準未達です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは1.20倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBR も19.64で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3506億円 |
②財務状況 | 〇 | 問題なし |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | ◎ | +132.7% |
⑤配当 | ◎ | 利回り3.72%+優待あり |
⑥株価収益率 | △ | 16.37倍 |
⑦株価純資産倍率 | 〇 | 1.20倍 |
株価収益率のみが基準未達となり、
宝ホールディングス(株)は割安株には該当しません!
という結果となりました。
ただ、株価収益率は少しだけ基準を満たさなかっただけですし、他の項目はしっかりクリアできており、すごく惜しいところ。酒造メーカーとしては4大ビールメーカーと比較すると地味な印象ですが、すごくしっかりした財務状況にあり、投資対象として優秀といえます。
グローバルかつサステナブルな宝独自の2つのビジネスモデル(日本食文化の世界浸透推進とライフサイエンス産業のグローバルプラットフォーマー)を確立・強化することで、バランスのとれた事業ポートフォリオでの持続的な成長を実現する
売り上げの約半分は宝酒造が占めるのですが、利益の半分以上は新型コロナの追い風もあってタカラバイオが稼いでます。研究用試薬の貢献度が非常に高いようで、今のところポートフォリオ変革がうまく進められているようです。まだまだ成長が期待できそうですね。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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