こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)あおぞら銀行【8304】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿ったあおぞら銀行の評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・あおぞら銀行は割安株なのか?
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)あおぞら銀行【8304】 の基本情報
・設立年月日 1957年4月1日
・上場年月日 2006年11月14日
・業種 銀行業
・特色 旧日債銀。事業再編など専門的な投融資に強み。地銀連携に力点。GMOとネット銀。四半期配当。
・資本金 1,000億円
・従業員数 (単独)2,005人 (連結)2,494人
・株価 2,452円(2024.4.30)
・単元 100株
・決算 3月末日
本支店数20店舗の規模で全国展開している普通銀行で、新興企業やノンバンク・不動産投資信託各社や、地方銀行などと提携した上での中小企業への融資および当行関連会社であるベンチャーキャピタルなど通じた取引が業務の中心となっています。
1998年に経営破綻した日本債券信用銀行が、2000年にソフトバンクグループ・オリックス・東京海上火災保険が組成した投資ファンドへ売却され、商号を変更しています。
新たな金融の付加価値を創造し、社会の発展に貢献する。
あおぞらビジョンとして、
「時代の変化に機動的に対応し、常に信頼され親しまれるスペシャリティー高い金融グループであり続ける。」ことを目指されています。
メガバンクでも地域金融機関でもないことを自社の特徴とし、機動的かつ専門的に従来の銀行の枠組みを超えた金融グループとしての可能性に挑戦されています。
ではここからは、(株)あおぞら銀行に対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
銀行業78社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 2891億9300万円(22位) |
売上高 | 1832億9200万円(16位) |
純利益 | 87億1900万円(42位) |
純利益率 | 4.8%(74位) |
総資産 | 7兆7227億円(28位) |
銀行業の中で売上高は22位、総資産は28位。利益率は低めで、純利益率は4.8%の74位。少数精鋭で他行にはない強みを生かした存在です。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:2兆4749億円
流動負債:6兆720億円
固定負債:6733億8600万円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.41倍で基準未達、
②は、固定負債6733億円 > 純流動資産-3.6兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高いです。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2009年に一度赤字はありますが、それ以降は毎年しっかり利益を上げられており問題ありません。基準達成です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 423億2800万円 |
2015年3月 | 436億8900万円 |
2016年3月 | 434億9900万円 |
2017年3月 | 438億4900万円 |
2018年3月 | 430億6400万円 |
2019年3月 | 361億3000万円 |
2020年3月 | 281億4200万円 |
2021年3月 | 289億7200万円 |
2022年3月 | 350億400万円 |
2023年3月 | 87億1900万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = -43.9%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 362.9円 | |
2015年3月 | 374.56円 | 3年平均:370.1円 |
2016年3月 | 372.94円 | |
2017年3月 | 375.94円 | |
2018年3月 | 369.16円 | |
2019年3月 | 309.67円 | |
2020年3月 | 241.19円 | |
2021年3月 | 248.26円 | |
2022年3月 | 299.81円 | 3年平均:207.6円 |
2023年3月 | 74.66円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 7円/株 | 0.53% |
2011年3月 | 20円/株 | 1.06% |
2012年3月 | 90円/株 | 3.77% |
2013年3月 | 139円/株 | 5.27% |
2014年3月 | 145円/株 | 4.93% |
2015年3月 | 149円/株 | 3.5% |
2016年3月 | 186円/株 | 4.73% |
2017年3月 | 187円/株 | 4.56% |
2018年3月 | 184円/株 | 4.34% |
2019年3月 | 154円/株 | 5.63% |
2020年3月 | 156円/株 | 7.75% |
2021年3月 | 124円/株 | 4.89% |
2022年3月 | 149円/株 | 5.76% |
2023年3月 | 154円/株 | 6.42% |
なお、株主優待はありません。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.05倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.72倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも8.68で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 評価結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高1832億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | 〇 | 赤字なし |
④収益成長性 | × | -43.9% |
⑤配当 | ◎ | 利回り6.42% |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.05倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.72倍 |
財務状況と収益成長性の2項目で基準未達となり、
(株)あおぞら銀行は割安株に該当しません!
という結果となりました。
ここ10年赤字もなく、配当の高さは非常に魅力的なのですが、負債がかなりの多さで、収益成長性が物足りないですね。仕方ありません。
従来からのビジネスモデル「6つの柱」の更なる進化とあらたな成長のためのイニシアチブに取り組み、あおぞら型投資銀行ビジネスの基盤の構築などによって最終年度である2022年度の収益水準は2019年度実績を上回る水準を目指す
株主還元についても、利益率の高さに加えて、株主還元については配当による還元を原則とし、配当性向を原則50%として業績に応じた還元を行っていくそう。今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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