こんにちは、なみです。
今回の記事では、日経225構成銘柄の1つである(株)ふくおかフィナンシャルグループ【8354】について、ベンジャミン・グレアムが提唱した「バリュー投資」の7つの基準に沿って評価してみました。
・バリュー投資の7つの基準に沿った日本取引所グループの評価
事業規模は?
資産と負債のバランスは?
収益の安定性と成長性は?
配当はしっかり出てるのか?
株価収益率(PER)と株価純資産倍率(PBR)はどの程度か?
・日本取引所グループは割安株なのか?
日経225企業の中で、あなたが投資すべき割安株はどれか?
を探し当てるためのご参考にしてください。
ちなみに、これまで評価した結果一覧は以下のページにまとめていますので、よろしければあわせてこちらもご覧ください。
(株)ふくおかフィナンシャルグループ【8354】 の基本情報
・設立年月日 2007年4月2日
・上場年月日 2007年4月2日
・業種 銀行業
・特色 傘下に福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行。総資産で地銀首位級。ネット専業「みんなの銀行」も。
・資本金 1,247億円
・従業員数 (単独)3,522人 (連結)8,109人
・株価 4,169円(2024.5.2)
・単元 100株
・決算 3月末日
福岡県福岡市中央区に設立された金融持株会社で、総資産で地方銀行グループトップ。現在は福岡銀行・熊本銀行・十八親和銀行の地方銀行3行のほか、子会社23社を傘下にもっています。
銀行の最大の使命は、顧客のそばで、暮らしの課題をともに考え、解決していくこととし、その使命を果たすために、「シングルプラットフォーム・マルチブランド」という独自の経営体制をとっています。
顧客と顔の見える関係を構築するため、地元に密着した3つの銀行(マルチブランド)で営業を展開。同時に、グループの経営を一体化し、各銀行のインフラやグループ会社の持つ専門機能を共通化(シングルプラットフォーム)することで、時代の変化を捉えた高度な金融サービスを提供するとともに、事業運営を効率化されています。
あなたのいちばんに。
「地域経済発展への貢献と企業価値の向上との好循環サイクルの実現」を基本方針として掲げ、金融・非金融問わず、様々な取り組みを通じて地域経済の活性化と発展に貢献されています。
ではここからは、ふくおかフィナンシャルグループに対してバリュー株投資の7つの基準に沿って評価していきます。
①事業規模
事業規模の評価基準は、「小型株をできるだけ除外する」。
日経225企業の一社ですので。事業規模は十分なのですが、一応業種の中での規模感を見ておきます。
銀行業78社の中での各項目のランキングは以下の通りです。
時価総額 | 7881億3100万円(10位) |
売上高 | 3313億2300万円(7位) |
純利益 | 311億5200万円(13位) |
純利益率 | 9.4%(53位) |
総資産 | 32兆7721億円(7位) |
銀行業の中で売上高、総資産とも7位。利益率は低めで、純利益率は9.4%の53位。千葉銀行と同様、地方銀行の枠を超える規模感ですね。
②財務状況
次は財務状況。評価基準は、①「流動資産が流動負債の2倍以上であること」。 また、②「固定負債が純流動資産を超えていないこと」。
2023年3月期の決算短信によると、
流動資産:11兆7618億円
流動負債:24兆721億円
固定負債:4兆9517億円 なので、
①は、流動資産 / 流動負債 = 0.49倍で基準未達、
②は、固定負債4.9兆円 > 純流動資産-12兆円 で基準未達となり、
流動資産に対して流動/固定負債いずれの割合もかなり高く、基準未達です。
③収益安定性
収益安定性の基準は、「最低でも10年間赤字がないこと」 。
過去10年の業績を確認すると、2017年に大きな赤字がありますね。熊本銀行と親和銀行の経営統合で発生したのれんの948億円を一括償却したとのこと。のれん償却以外の利益は計画通りであったとのことですが、残念ながら基準未達です。
年度 | 純利益 |
2014年3月 | 361億9200万円 |
2015年3月 | 365億9500万円 |
2016年3月 | 447億1800万円 |
2017年3月 | -543億円 |
2018年3月 | 493億6900万円 |
2019年3月 | 516億4900万円 |
2020年3月 | 1106億700万円 |
2021年3月 | 446億4700万円 |
2022年3月 | 541億1800万円 |
2023年3月 | 311億5200万円 |
④収益成長性
収益成長性の基準は、「過去10年間のうち、直近3年間のEPSが最初の3年間より最低33%以上伸びていること」。
IR情報を確認すると、(直近の3年平均 – 最初の3年平均) / 最初の3年平均 × 100 = +0.2%となり、基準未達です。
年度 | EPS | |
2014年3月 | 210.66円 | |
2015年3月 | 213.02円 | 3年平均:228.0円 |
2016年3月 | 260.32円 | |
2017年3月 | -316.11円 | |
2018年3月 | 287.42円 | |
2019年3月 | 300.71円 | |
2020年3月 | 581.83円 | |
2021年3月 | 234.86円 | |
2022年3月 | 284.69円 | 3年平均:228.4円 |
2023年3月 | 165.54円 |
⑤配当
配当の基準は、「 20年連続で配当を出していること 」。
入手できる範囲でIR情報を確認すると、毎年しっかり出てますね。基準達成です。
年度 | 配当金 | 配当利回り |
2010年3月 | 40円/株 | 2.02% |
2011年3月 | 40円/株 | 2.31% |
2012年3月 | 40円/株 | 2.18% |
2013年3月 | 50円/株 | 2.07% |
2014年3月 | 60円/株 | 2.83% |
2015年3月 | 60円/株 | 1.94% |
2016年3月 | 65円/株 | 3.54% |
2017年3月 | 65円/株 | 2.7% |
2018年3月 | 75円/株 | 2.62% |
2019年3月 | 85円/株 | 3.46% |
2020年3月 | 85円/株 | 5.94% |
2021年3月 | 85円/株 | 4.05% |
2022年3月 | 95円/株 | 4% |
2023年3月 | 105円/株 | 4.12% |
なお、株主優待は3月末の権利確定で200株以上を1年以上継続保有で200~1,999株なら株主優待券を1枚、2,000株以上なら2枚もらえ、①定期預金金利上乗せ、②外貨両替、③キャッシュレス決済、④myCoinプレゼント、⑤投資信託、⑥年金、⑦住宅ローン金利優遇、⑧FFG証券、のいずれかで優待を受けることができます。
⑥株価収益率
株価収益率の基準は、「PERが15倍以下であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPERは12.75倍であり、基準達成です。
⑦株価純資産倍率
株価純資産倍率の基準は、「①PBRが1.5倍以下で、②PER×PBRが22.5未満であること」。
Yahooファイナンスによると、現在のPBRは0.82倍であり、①のPBRは基準達成です。
②のPER × PBRも10.46で基準達成です。
まとめ
今回の結果をまとめると以下の通りとなります。
項目 | 結果 | 備考 |
①事業規模 | 〇 | 売上高3313億円 |
②財務状況 | × | 流動&固定負債多い |
③収益安定性 | △ | 2017年赤字 |
④収益成長性 | △ | +0.2% |
⑤配当 | ◎ | 利回り4.12%+優待あり |
⑥株価収益率 | 〇 | 12.75倍 |
⑦株価純資産倍率 | ◎ | 0.82倍 |
財務状況と収益安定性/成長性の3項目で基準未達となり、
(株)ふくおかフィナンシャルグループは割安株に該当しません!
という結果となりました。
配当はしっかりで株価も手頃なのですが、これもあおぞら銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループと同じパターン、負債が多すぎます。やはり負債が多くなってしまう銀行業にとってこの評価指標は厳しいですね。仕方ありません。
「ファイナンスとコンサルティングを通じて全てのステークホルダーの成長に貢献するザ・ベスト リージョナルバンク」になることを2030年の長期ビジョンとし、サステナブルな地域社会と持続的成長の同時実現を目指す
ふくおかフィナンシャルグループでは、①信頼をベースに多様化する顧客ニーズにストレスなく応えるサービス開発力、②企業・社会課題を解決するソリューション力、③大きく変化する環境・社会課題や働き方に柔軟に対応できる組織力の3点を備えたい力と位置付けています。広域展開型地域金融グループの今後に期待ですね。
これまで評価した結果を下の記事にまとめてますので、よろしければあわせてご覧ください。
以上、皆さんの参考になれば幸いです。
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